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高松地方裁判所 平成5年(わ)165号 判決

本店所在地

香川県綾歌郡綾上町山田下二九九四番地一

株式会社

富士クリーン

(右代表者代表取締役 馬場一雄)

本籍

香川県綾歌郡綾上町羽床上一二〇番地一

住居

同所

会社役員

馬場一雄

昭和二六年五月八日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官福嶋成二出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社株式会社富士クリーンを罰金一二〇〇万円に、被告人馬場一雄を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人馬場一雄に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社富士クリーンは、香川県綾歌郡綾上町山田下二九九四番地一に本店を置き、産業廃棄物処理業等を営む株式会社であり、被告人馬場一雄は、被告会社の代表取締役として、同会社の業務全般を統括しているもであるが、被告人馬場は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  平成二年七月一日から平成三年六月三〇日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が一億一五七一万九一七〇円であったにもかかわらず、売上の一部を除外して仮名預金にし、固定資産として計上すべきものを外注費として損金計上するなどの方法により所得を秘匿した上、同年八月二八日、香川県坂出京町二丁目六番二七号所在の所轄坂出税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六九八六万九三一三円で、これに対する法人税額が二五二四万一二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額四二四三万四九〇〇円と右申告税額との差額一七一九万三七〇〇円を免れ、

第二  平成三年七月一日から平成四年六月三〇日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が二億三三五三万二二三八円であったにもかかわらず、前同様の方法により所得を秘匿した上、同年八月二六日、前記坂出税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億三七三七万六四八五円で、これに対する法人税額が五〇〇七万〇二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額八六一二万八七〇〇円と右申告税額との差額三六〇五万八五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実の全部について

一  被告会社株式会社富士クリーン代表者代表取締役馬場一雄の当公判廷における供述

一  被告人馬場一雄の当公判廷における供述

一  被告人馬場一雄の検察官に対する供述調書

一  被告人馬場一雄の大蔵事務官に対する各質問てん末書(一二通)

一  吉田武夫、串田勝利及び北川照子の検察官に対する各供述調書

一  北川照子の大蔵事務官に対する各質問てん末書(九通)

一  串田勝利の大蔵事務官に対する平成四年一〇月二七日付け、同月二八日付け、同月二九日付け、同年一二月一日付け各質問てん末書

一  吉田武夫の大蔵事務官に対する平成四年一一月一三日付け質問てん末書

一  検察事務官作成の各捜査報告書(六通)

一  大蔵事務官作成の売上調査書、外注費調査書、労務費調査書、給料調査書、諸税公課調査書、交際費調査書、事業税調査書、受取利息調査書、損金の額に算入した県民税利子割額調査書及び交際費損金不算入額調査書

判示冒頭の事実について

一  高松法務局高松南出張所登記官作成の登記簿謄本

判示第一の事実について

一  串田勝利の大蔵事務官に対する平成五年一月一九日付け及び同年二月一日付け各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(事業年度が平成二年七月一日から平成三年六月三〇日までのもの)

一  大蔵事務官作成の領置てん末書

一  押収してある法人税確定申告書副本(事業年度が平成二年七月一日から平成三年六月三〇日までのもの)一綴(平成五年押第三三号の1)

判示第二の事実について

一  吉田武夫の大蔵事務官に対する平成四年一〇月二七日付け質問てん末書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(事業年度が平成三年七月一日から平成四年六月三〇日までのもの)

一  大蔵事務官作成の減価償却費調査書、特定災害防止準備金調査書、減価償却超過額調査書、貸倒引当金超過額調査書及び「その他所得より調査書」と題する書面

一  大蔵事務官作成の領置てん末書

一  押収してある法人税確定申告書副本(事業年度が平成三年七月一日から平成四年六月三〇日までのもの)一綴(平成五年押第三三号の2)

(法令の適用)

被告会社株式会社富士クリーンとの関係では、判示各所為はいずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項に該当するところ、情状に鑑み同法一五九条二項を適用することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金一二〇〇万円に処することとする。

被告人馬場一雄の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人馬場を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 竹野下喜彦)

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